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呼吸をデザインする。一日に2万回繰り返す行為が、心身に与える絶大な影響

私たちは、一日に、およそ2万回、呼吸を繰り返していると言われています。
それは、心臓の鼓動と同じように、ほとんど意識されることのない、生命を支えるための、自動的な営みです。

しかし、もし、この無意識の行為の中に、あなたの心と身体のコンディションを、意図的にコントロールするための「スイッチ」が隠されているとしたら、どうでしょうか。
「呼吸をデザインする」。 それは、一日に2万回訪れる、自分自身を整えるチャンスを、その手に取り戻すための、最もシンプルで、最もパワフルな知恵なのです。

あなたの神経系を操る、「呼吸」というリモコン

なぜ、呼吸がそれほどまでに重要なのでしょうか。
その答えは、以前の記事でも触れた、私たちの心身のON/OFFを司る「自律神経」との、深い関係にあります。

  • 浅く、速い呼吸(胸式呼吸): ストレスや緊張を感じた時、私たちの呼吸は、自然とこのパターンになります。これは、活動モードの「交感神経(アクセル)」を刺激し、「今は、緊急事態だ」という信号を脳に送ります。
  • 深く、ゆっくりとした呼吸(腹式呼吸): リラックスしている時、私たちの呼吸は、こちらのパターンに。これは、休息モードの「副交感神経(ブレーキ)」に直接繋がる「迷走神経」を刺激し、「もう、安全だよ」という信号を、脳に届けます。

心臓の鼓動を、意志の力でゆっくりさせることはできません。しかし、呼吸だけは、自律神経が支配する領域の中で、唯一、私たちが意識的にコントロールできるもの。
つまり、呼吸とは、アクセルとブレーキを自在に切り替えるための、私たちに与えられた、唯一の「リモコン」なのです。

3分でできる、「凪(なぎ)の呼吸」

このリモコンの、最も効果的な使い方を、一つご紹介します。心がざわついた時、緊張した時、あるいは、眠る前に、ぜひ試してみてください。

  1. 準備: 椅子に座るか、仰向けに寝て、楽な姿勢をとります。まずは、口から、身体の中の空気を、すべて吐き出し切ります。
  2. 息を吸う(4秒): 口を閉じ、鼻から、静かに息を吸い込みながら、心の中で「1、2、3、4」と数えます。お腹が、優しく膨らむのを感じましょう。
  3. 息を止める(7秒): 吸い込んだ息を、身体の中に留めながら、「1、2、3、4、5、6、7」と数えます。
  4. 息を吐く(8秒): 口をすぼめ、「ふーっ」という音を立てながら、身体の中の空気を、すべて、ゆっくりと吐き出します。「1、2、3、4、5、6、7、8」と、吸う時の倍の時間をかけるのがポイントです。
  5. 繰り返す: このサイクルを、3〜4回、繰り返します。

この呼吸法で最も重要なのは、「長く、吐き出す」こと。これが、副交感神経(ブレーキ)を最も効果的に優位にし、心身を深いリラックスへと導く鍵となります。

「呼吸」が、主役になる場所

この呼吸法は、いつでも、どこでも、あなたを助けてくれる素晴らしいツールです。 

しかし、日常の喧騒の中では、なかなか、その繊細な感覚に集中するのが難しいかもしれません。

『みずは』の空間は、この「呼吸」という行為が、主役になるためにデザインされています。

  • ノイズからの解放: 外部からの刺激が遮断されたカプセルの中では、あなたは、ただ、ご自身の呼吸の音だけに、意識を集中することができます。
  • 一呼吸の、質を高める: 高気圧環境は、一度の呼吸で取り込める酸素の量を増やしてくれます。深く吸い込んだ息が、身体の隅々まで、清らかなエネルギーとして染み渡っていく、その豊かな感覚を、味わってみてください。

それは、あなたが、ただ「呼吸の練習」をする場所ではありません。
あなたという存在そのものが、「穏やかな呼吸」そのものと一体になる。 そんな、究極の体験です。

一日に、2万回。 あなたは、自分自身を、穏やかにするチャンスを手にしています。
そのうちの、ほんの数回を、意識的にデザインしてみませんか。 世界は、きっと、違って見えてくるはずです。

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