「夜、なかなか寝付けないのに、朝はすっきりと起きられない」 「なぜか、平日の午後になると、決まって集中力が途切れてしまう」
こうした、日々のエネルギーレベルの波に、悩まされてはいないでしょうか。
その原因は、あなたの意志の力や、気合の問題ではないかもしれません。
答えは、私たちの身体の、もっと深く、本能的なレベルに刻まれた、壮大な自然のリズム、「サーカディアンリズム」にあります。
私たちの内に存在する、古代からの「体内時計」
サーカディアンリズムとは、地球の自転に合わせて、私たちの身体に備わっている、約24時間周期の「体内時計」のことです。
この時計は、私たちがいつ眠くなり、いつ活動的になるか、という睡眠と覚醒のサイクルだけでなく、ホルモンの分泌や、体温、代謝といった、身体のほぼすべての機能を、精密にコントロールしています。
まるで、身体というオーケストラの、すべての楽器の演奏タイミングを指示する、偉大な指揮者のようです。
そして、この指揮者が、毎日、正確な時を刻むために、最も重要な手がかりとしているのが、「太陽の光」です。
狂い始めた、現代人の「体内時計」
- 朝の光不足: 本来であれば、朝の太陽の光を浴びることで、私たちの体内時計は「一日の始まりだ」とリセットされます。しかし、私たちは、遮光カーテンを閉めた部屋で目覚め、すぐにオフィスや、日中のほとんどを室内で過ごすため、この最も重要な「朝のスイッチ」を、押しそびれてしまっているのです。
- 夜の光過多: 逆に、夜になると、スマートフォンやPC、テレビの画面から、太陽光に近い性質を持つ「ブルーライト」を、大量に浴びてしまいます。すると、体内時計は「まだ昼間だ」と勘違いし、自然な眠りを誘うホルモン「メラトニン」の分泌を抑制してしまいます。
「光」で、あなたの一日をデザインする
しかし、希望はあります。この体内時計は、あなたの少しの意識で、再び、自然のリズムと調和させることができるのです。あなた自身が、光のデザイナーとなって、あなたの一日を、健やかにデザインしてみませんか。
- 朝の儀式:「光を、浴びる」
目覚めたら、まず一番に、カーテンを開けましょう。そして、5分でもいいので、窓辺やベランダで、外の光を浴びる習慣を。朝の光は、あなたの体内時計に、最もパワフルな「ON」の信号を送ります。 - 日中の習慣:「光を、意識する」
日中は、できるだけ明るい場所で過ごすことを意識します。ランチタイムに、少しだけ外を散歩するのも良いでしょう。昼間の活動時間と、夜の休息時間のメリハリを、身体に教えてあげます。 - 夜の儀式:「光を、絞る」
眠りにつく1〜2時間前からは、部屋の照明を、暖色系の、間接照明に切り替えてみてください。スマートフォンの画面も、ナイトモードに設定を。強い光を避けることで、体内時計に「そろそろ、休息の時間だ」という、優しい「OFF」の信号を送ります。
穏やかな「夕暮れ」を、心と身体に
現代の生活に失われがちなもの。それは、刺激的な「昼」から、穏やかな「夜」へと、ゆっくりと移り変わっていく、グラデーションの時間、すなわち「夕暮れ」なのかもしれません。
『みずは』の空間は、この「心と身体のための夕暮れ」を、意図的に創り出す場所です。 外界の光や音を遮断した、静かで、ほの暗いカプセル。そこで過ごす60分は、ONの状態だった交感神経を、休息モードの副交感神経へと、優しく切り替えていくための、完璧な移行時間となります。
それは、サーカディアンリズムそのものを直接整えるものではありません。 しかし、そのリズムが、最も美しいハーモonyを奏でるための、最高の「序曲」となるのです。
あなたの一日を、そして、あなたの健やかさを、もう一度、太陽のリズムと調和させてみませんか。
その始まりは、ただ、カーテンを開ける、その一つのシンプルな行為からなのです。